【第八話】ようこそ、ハマオ号

 

出張から帰り、車庫証明も無事取れ、希望のナンバーも取れ、やっと来た納車日。2002年の12月9日。その日は東京では珍しい雪の日であった・・・。

東京の雪と言っても、大したことはない。道路が通行止めになる訳でもないし、道路の雪は車でほとんど溶けていた。それでも初めてハマーを運転するのに、大丈夫かなと心配だった。いわどんからしてみれば、「雪の日だなんて、ハマーには持ってこいの納車日和じゃん」とはしゃぎ気味。
いわどんがかつて住んでいた場所は、アメリカはど真ん中の北の方、冬場には雪はもちろん-40度の世界も当たり前と言う所。そんな中でコルベットを運転していたわけだから、まったく雪道初心者ではないだろう(もう感覚は無くなっているかもしれないけど)。と言うわけで、今日の納車は決行。

ディーラーさんが、練馬の陸運局で手続きをしてナンバーをもらうと言うので、私たちは雪の中、電車で練馬陸運局まで出向く。陸運局の脇の道を歩いていると、いわどんが叫びだし「あ!あれ、あれ。止まってる、止まってる」、急に駆け足になった。雪道をオッチラ、ヨッコラ歩いていた私は「おい、待て〜い。すってんころりするよ!」とこちらも少しばかし早歩きになる。
陸運局に着くと、もう少しで手続きが終わるとの事。コーヒーなんぞ飲みながら待つこと数分。無事ナンバーもついて、引き渡しとなった。簡単なレクチャーを受け、いざいわどんの運転で帰途へ!

ハマーの運転に慣れていない(って初めてなんだけど)事もあって、横に乗ってる私もドキドキ。「ちょっと右寄りすぎじゃない」とか言いながら、走る。対向車線の車や、交差点で待っている人、隣の車線を走っている車と、いろいろな所から視線を感じる。面白いのは、大抵の人が目が点と言う感じで見ているのである。その巨体の為、車線変更はラクチン。みんな入れてくれるのである(笑)。ハマーに乗るのも慣れていない私は、いわどんの初めての運転に、ちょっと車酔いしてしまった。

無事に我が家に到着。そして駐車場にいれる。とうとう、我が家にハマーがやってきたのである。

いわどんのハマーへの思いはとても長かった。彼からしてみれば、本当に長い道のりだったのだろう。横でずっとハマーへの思いを聞いていた私も、確かに長かったと感じる。でも、いざ決まってみると、あっと言う間だった。「どうせ買えないだろう」と言う思いで言ってしまった「買えるものなら、買ってみろ」。この言葉は、どうやら男の人にとっては「買ってもいい」と言う言葉に聞こえるものらしい(笑)。

無事、我が家の一員になったハマーには、「ハマオ」と命名。下町をぶいぶいと走るハマオ号。すっかり近所では名物になっている今日この頃である。<終わり>

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