【第四話】我が家に内戦勃発か?!

 

無事車の免許を取ったいわどん。プリメーラ号でちょこちょこと動いていた。運転が好きなのか、車があればやっぱり男の子、ちょっとした所でも車で移動していた。

さて、すぐに車は買わなくとも、いつかは欲しいと言うことで、以前よりも現実的になった車の購入。私ももしかしたら運転するかもしれないと言うことで、「これもいいよねぇ」とか車の雑誌を見ては楽しんでいた。私の中で、ずっと憧れていた車があった。定番であるが、VOLVOのステーションワゴン(でも最新の形じゃなくて、まだカクカクしたデザインの頃のである)に犬を乗せて海に行くと言う憧れ。ちょっとシーズーではイメージが違うのだが、まぁそれは良し。初めてアメリカは西海岸・サンフランシスコに行った時、VOLVOのステーションワゴンに犬を乗せて走っていたのを見た。その当時からの憧れであった。次に気に入っていた車、それはFIATのPANDAの4輪駆動である。VOLVOとは違って、こっちは小さい車で東京を走るには持ってこいのサイズである。が、確か4駆はマニュアルしかなかったような・・・。しかも、車自体ももう生産していないので、当然中古でしか探すことができない。う〜む。まぁそんなこんなで、私はあれやこれやと考えていた。いわどんもVOLVOから資料を取り寄せる等していたので、てっきりVOLVOを買うものだと思っていた。

が、違った。いわどんは「買うなら絶対ハマーだ。それ以外は買わん」とふざけた事を言う。「ハマーなんて買えるわけないじゃん」と反論する私。買えないじゃんと言う言葉に引っ掛かったか、いわどん、中古のハマーをせっせと探す。が、個人売買だと、キャッシュで払わないといけない。そんなキャッシュは我が家にはある訳が無い(あったら、さっさと買ってるってか)。すると、今度は金はなんとかすればいいとか言いだした。確かにその通りではあるのだが、これでなんとかされても困る。

次に私が考えた反論は「アメリカならまだしも、東京にゃハマーは必要ないんだよ!」である。いわどんがハマーの機能や特徴を「ほら、すごいでしょ」と話すのを聞いて「そんな所に行かないから大丈夫」とか「東京にそんな場所ないから」と言ってははぐらかしていた。
それ以前に、我が家は東京は下町(いわゆる今下町と言われている浅草や根津ではなく、昔から言う下町ー文京区は護国寺近辺)である。この近辺の道はとにかく細くて入り乱れている。我が家の近所も、車が入れない道がわんさかある。それどころか、我が家の前の道は3.5Mぐらいの幅しかなく、その先に進み大通りに出る直前は2.5Mあるかどうかの道なのである。「えっと、確かハマーの横幅は2.2Mだったよね」と言う私に、いわどんは「大丈夫、佐川急便の3tトラックも通ってるし、大きめの消防車も15分かけて通っていったよ」と言う。が、相手はプロのドライバーである。「あんたはド素人でしょうが」と言うも、ニコニコして「大丈夫だよ」と言う。「だいたい駐車場はどうするのよ」とたたみかけるように、反論する私。

我が家のアパートはいわどんのお父さんのアパートである。その1階に我が家は住んでいるのだが、道路と建物との間に1台分の駐車場がある。当時はそこを近所の人に貸していたので、我が家の前にはいつも他人の車が止まっていた。いわどんは、そこの場所にハマーが入るとにらんでいた。車が止まっていない時にメジャーで測っていたようである。たまたまそこの借り主が好き勝手やっていた事もあり、しかもうちの敷地にプリメーラ号を停めていた事に文句を言ってきたので、いわどんがお父さんに話をし、今借りている人には出ていってもらい、我が家が借りることになった。駐車場は、それで解決してしまった。

まぁ、そうは言っても、2000万弱もする新車は買えないし、中古ってもモノが見つからなければ買いたくても買えない。中古ってもそんじょそこらにある車じゃないので、中古すらなかなか見つからないし、見つかっても現金じゃ買えないしね。とのんきに構えていたら、大阪に本拠を構えていた日本のハマーのディーラーが東京に進出してきたとの事。なぁに〜!しかも、いわどん、近々見に行きたいと友達と話していたらしい。こりゃ困ったぞ。

こうやって、我が家の流れはどんどんハマー寄りになっていくのである。困ったことになった(笑)
そして私もついにタンカを切ってしまった。「買えるもんなら、買ってみろ」と。

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